"秘匿性への好奇心"に引きつけられた。「秘密にしておきたいくらいの演劇」半田大介さんより応援コメントをいただきました。

    【佐藤佐吉演劇祭2024参加作品】

「精神明晰サバナに没す」「さんぽハイ」「日めくりカレンダーAタイプ読み聞かせ」「日めくりカレンダーBタイプ読み聞かせ」

2024/3/11(月)
@東京都北区 王子小劇場
作・演出・出演:B子

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B子の公演に向け、都内劇場スタッフの半田大介さんより応援コメントをいただきました。ありがとうございます(*^^*)

下記より、どうぞ~

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「秘匿性を大事にしたいんです。」

とあるお笑いライブの主催者が、コロナ禍、生配信の方針について劇場と相談していた際に話していた言葉です。

舞台イベントの配信文化も今ほど浸透してないし、さまざまな劇場が急ピッチで生配信用の通信環境を整えていた頃だったと思います。

当時、僕が働いていた劇場の主任は、この言葉に対して「いいこと言うね~!」と感銘を受けていました。僕は内心「できるだけ多くの人に見てもらったほうがいいんじゃない?」と思いつつ、口では「そうですよね!」と心無い相槌を打っていました。

結果、下北沢で行われたその無観客配信お笑いライブは、「アーカイブ配信は残さない。」という結論に落ち着いたのでした。

イベント配信についての方針は様々な意見があると思うし、もちろん、今でも「できるだけたくさんの人に見てもらったほうがいい。」という考えはあります。

ただ、なぜ今、B子さんへの紹介文でこの話をしたのかというと、僕が初めてB子さんのお芝居を観たときに、「秘匿性」という好奇心の力を、強く感じたからです。


きっと、この紹介文を読んでいるほとんどの方が、「B子」という言葉を初めて知り、ほんの暇つぶし程度の好奇心で、ここまで読んでくださっているのだと思います。

まったく同じです。

初めて「B子」という言葉を知ったのは、公社流体力学さんという方のニッチな小劇場観劇ブログでした。ほんの暇つぶしで、Twitterに流れてきたそのブログを拝見し、「へえ…」と思ったのが最初のきっかけです。

僕も趣味として、あまり多くはないですが、小劇場演劇を観劇します。そして、観劇回数を重ねるうちに、無意識にどんどんと「誰にも知られてない面白い演劇はないかな。」と未知の演劇への「欲」が出てきました。きっと世の、「日常的に小劇場へ足を運ぶ熱心すぎる観劇オタク」の皆さんも心当たりのある「欲」かと思います。

この「欲」は非常にやっかいです。

自分しか知らないような、面白い表現に出会ったとき、脳からどばどばとドーパミンが溢れてきて、「いいものをみたな」と、一人、にやつきながら、普段は絶対に降りない駅まで向かい、電車の中でTwitterを開き、なんて呟こうかなと考える。

この時の、得も言われぬ満足感が楽しいのです。自分の好奇心のためだけに行動し、聞いたこともない駅で降りて、住宅街の中にひっそりとたたずむ劇場へ足を運び、ただ自分の好奇心を満たすこと中毒性。

B子さんの演劇は、そんな「欲」を満たしてくれたように思います。

まず、公演情報がまったく無いんです。僕が初めて知ったときは、TwitterもHPも開設しておらず、いまでもどうやって公演情報を掴んだのか覚えていません。

たしか、折込チラシも数公演にしかやっていなかったような。普通の生活をしていたら、まずたどり着けない。

でも、そんなカケラみたいな情報だからこそ、「なんとしてでも行くぞ!」と躍起になってしまうのです。

たしか、昨年2023年の10月。たった一日、早稲田のイズモギャラリーという小さな劇場で、1日6ステージという狂ったタイムテーブルで公演を行うという情報を掴んだ僕は、すぐに個人のスケジュールと照らし合わせて、「行ける」となるとすぐさま予約をしました。

そして当日。劇場の外に一人で立っている女性スタッフに「B子さんの公演に来たんですけど…」と尋ねると、その女性は「あ…、この地下です。」とボソッといい、階段を下り、受付をしてくれました。その後、そのスタッフは、また地上へ、劇場の案内に戻っていきました。

上演時間、先ほどの女性スタッフが劇場へ入ってきて、黙々と準備を始め、前説を始めました。スタッフじゃなくて「B子」だったんだなと、驚きました。

そして「B子」は数人のお客さんの前で、1時間の一人芝居を始めました。脚本、演出、出演、音響、照明、受付、劇場案内まで、すべてが「B子」一人でした。

そこから先は、その場にいた観客だけの秘密です。

とてもとても奇妙で、可笑しく、好奇心が刺激される観劇体験だったことだけは、お伝えします。

もちろん、僕自身、にやにやと薄ら笑みを浮かべながら帰路に着いたのはお察しの通りです。

そしてこの日、自分にとっての観劇に「秘匿性」がとても大事な要素であることを実感したのです。

あのお笑いライブの制作さんが大事にしたかったものが、今回、王子小劇場で行われるB子さんの公演にも宿っていることは間違いありません。

「小劇場」での観劇には、「小劇場」にしかない面白さがあると思います。「その日、その場所でしか見れない秘匿性」も、その要素の一つなんだろうと思います。

この駄文を最後まで読んでくださった、物好きで好奇心旺盛な方には、「ぜひ見に行ってください。」なんて言葉は不要かと思います。

むしろ、僕にとっての「秘密にしておきたいくらいの演劇」が広まってしまうのがすこしばかり残念ですらあります。

なので、どうか、この文章は見なかったことにしていただければ、非常に幸いです。

PS:

B子さん。はじめまして。いきなりトラックから声をかけて驚かせてしまいすいません。公演頑張ってください!


――半田大介(都内劇場スタッフ)さま



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